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顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマ:業務災害


業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡をいいます(労災保険法7条)。そして、業務上といえるためには、業務起因性と業務遂行性の双方が必要です。

判例では、例えば、最高裁は、既往症の十二指腸潰瘍が12日間にわたる過密日程の海外出張の11日目に再発し開腹手術となった事案について、基礎疾患が特に過重な業務遂行により急激に悪化したとして、業務起因性を肯定しました。以下、判決文の引用です。


1 本件は,貿易会社の営業員として勤務していた上告人が,海外出張中の平成元年12月7日にせん孔性十二指腸かいよう(以下「本件疾病」という。)を発症したことにつき,被上告人に対し,労働者災害補償保険法に基づき療養補償給付の請求をしたところ,被上告人から,本件疾病は業務に起因することの明らかな疾病に当たらないとして同2年7月19日付けで不支給決定(以下「本件処分」という。)を受けたため,その取消しを求めた事案である。
2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1)上告人は,昭和59年3月1日に神戸市所在のA社に入社し,営業員として勤務していた。同社は,主に,日本及び極東地域の商品製造業者と諸外国の業者との間の商品売買の代行等の代理店業務を営む会社である。上告人の通常の業務内容は,海外の顧客との通信文書の原文作成,商品製造業者との価格,納期等の交渉,顧客からの依頼に対する回答,新しい商品の探索,海外の代理店への指示などを行うことであった。上告人の所定労働時間は,午前9時から午後5時30分までのうち休憩時間を除いた7時間30分で,所定休日は,土曜日,日曜日,夏期休暇7日間及び冬期休暇14日間であった。上告人は,1年間に4回程度海外出張をしていたが,これらは,香港ないし台湾の同社の現地事務所に赴き打合せをするとともに,これと前後して目的の国において商談等を行うというもので,出張先はおおむね1か所だけであった。
(2)後記(3)の出張を別として,上告人の本件疾病の発症以前1年間における各月の時間外労働等の状況をみると,上告人は,出張がない月にはおおむね時間外労働又は休日労働をしておらず,出張をした月においても,時間外労働は18時間,休日労働は3日間を超えることはなかった。上告人は,後記(3)の出張以前2か月間は,時間外労働も休日労働もしていなかった。
(3)上告人は,平成元年11月20日から同月24日にかけて,大阪,東京,三重等に出張し,海外の顧客を上記各地の事業所に案内して商談ないし接待を行った。上記国内出張(以下「本件国内出張」という。)に係る5日間において,商談その他の付随業務及び接待に要した時間は,合計68時間(1日当たり平均13.6時間)であった。また,同月25日は休日であったが,上告人は,前日までの記録の整理及び翌日からの海外出張(以下「本件海外出張」といい,本件国内出張と併せて「本件各出張」という。)の準備を行った。
(4)本件海外出張は,平成元年11月26日から同年12月9日までの予定で,大韓民国,台湾,シンガポール,マレイシア,タイ及び香港を出張先とし,上告人が,A社のB社長と共に,同社の顧客である英国のC社のD取締役及びE取締役の出張に随行し,現地代理店の業務の促進,営業等を行うというものであった。C社は英国の大手の文具問屋であり,A社は,従前から上記会社が取り扱うアルバムの貿易代行をしていたが,本件海外出張当時,貿易代行の対象となる商品を文具一般に広げる準備を進めており,本件海外出張はその実績を作る重要な出張として位置付けられていた。
(5)本件海外出張中の上告人の業務内容,本件疾病の発症に至る経緯等は,次のとおりである。
ア 平成元年11月26日,航空機で大阪から大韓民国のソウルに移動し,B社長と共にD,E及び現地代理店担当者と打合せをし,D及びEを接待した。
イ 同月27日,D及び現地代理店担当者と共に商品製造業者4社を訪問し,商談をした後,商品製造業者側の接待を受けた。
ウ 同月28日,航空機でソウルから台湾の台北へ移動し,英文でレポートを作成した後に,B社長及び現地代理店担当者と打合せをし,Dを接待した。
エ 同月29日,D及び現地代理店担当者と共に商品製造業者4社と商談を行い,商品製造業者側の接待を受け,さらに,Dを接待した。
オ 同月30日,D及び現地代理店担当者と共に商品製造業者3社と商談を行い,商品製造業者側の接待を受けた。
カ 同年12月1日,航空機で台北から香港を経由してシンガポールへ移動し,シンガポールで商品製造業者1社と打合せをした。
キ 同月2日,D,E及びタイの代理店担当者と共にマレイシアの工場を訪問して商談をした後,シンガポールで商品製造業者側の接待を受けた。
ク 同月3日,B社長及びタイの代理店担当者との打合せ並びに英文の業務レポート作成をした後,D及びEを接待した。
ケ 同月4日,シンガポールで,B社長と共にE及びタイの代理店担当者と打合せをし,Dと共に商品製造業者1社を訪問した後,タイのバンコクへ移動し,Dを接待した。なお,上告人は,同日から食欲減退を訴えている。
コ 同月5日,タイの現地代理店と打合せを行った後,現地代理店担当者と共にDを市内に案内し,接待した。
サ 同月6日,D及び現地代理店担当者と共に商品製造業者1社を訪問して商談をした後,Dを接待した。
シ 以上の11日間の接待を含む労働時間は合計144.5時間(1日当たり平均約13.1時間)であり,時間外労働は62時間,休日労働は2日間であった。
ス 同月7日,D及び現地代理店担当者と共に商品製造業者1社を訪問して商談をした後,航空機でバンコクから香港へ移動する途中の午後3時45分ころから腹痛を訴え,香港到着後も腹痛が治まらず,同日午後10時ころ,ホテルから救急車で病院に搬送された。上告人は,同日,同病院に入院し,同月8日に抗かいよう剤の投与を受けたが,翌9日に本件疾病と診断されて開腹手術などの治療を受けた。上告人は,翌平成2年初めころからは回復に向かい,その後退院した。
(6)上告人は,昭和27年3月27日に出生し,昭和44年ころに十二指腸かいようにり患し,同55年ころにも十二指腸かいようの傾向があるとして治療を受けた。さらに,同63年2月,腹部に痛みがあったため病院で受診したところ,十二指腸球部に活動期のかいよう2個及び治癒期のかいよう1個が発見された。この発症部位は本件疾病の発症部位とほぼ同一である。同病院では,上記疾病の治療として,抗かいよう剤の投与と食事指導が行われた。その結果,同年3月1日には自覚症状が消失した。その後,上告人は,同年4月25日に胃内視鏡検査の予約をしたが来院せず,更に2回の通院後,同年6月28日以降翌年12月の本件疾病発症に至るまで通院しておらず,医師の処方による抗かいよう剤も服用していなかった。上告人は,本件疾病発症当時は,37歳であった。
(7)十二指腸かいようその他の消化性かいようは,胃液中の塩酸によって活性化されたペプシンの消化作用により生ずる胃や十二指腸を中心とした上部消化管の壁組織欠損をいい,せん孔はその合併症である。消化性かいようの発生の要因となるものは,遺伝的又は体質的素因としての生物学的要因,かいよう患者が示す一定の性格や行動様式といった心理的要因及びストレス刺激となる社会的要因の三つであると考えられていたが,近時においては,人の胃粘膜などに生育するグラム陰性のらせん菌であるヘリコバクター・ピロリ菌への感染が重要な要素であり,消化性かいようはヘリコバクター・ピロリ菌感染に伴う胃粘膜障害等にストレス等の複数の要因が加味されて発生することが多いと考えられるようになり,消化性かいようにり患した患者の中でヘリコバクター・ピロリ菌の除菌に成功した例とそうでない例との間ではその再発率に格段の相違があることが明らかになった。上告人が本件疾病以前に前記のとおり十二指腸かいようの既往を有し,本件疾病が前回の疾病とほぼ同一部位に生じていること,壮年期以降の日本人の60%程度はヘリコバクター・ピロリ菌に感染している旨の平成8年発表の報告があることによれば,本件疾病は,上告人のヘリコバクター・ピロリ菌感染を要因の一つとして,上告人の既往症である慢性十二指腸かいようが再発してせん孔に至ったものと推認される。
(8)本件疾病の治療を行った3人の医師は,それぞれ,本件疾病について,上告人の海外出張中の業務によるストレスのため,慢性十二指腸かいようが悪化し,せん孔が起こった可能性が高いとの見解を示している。
3 上記事実関係等の下において,原審は,本件各出張が上告人に著しいストレスを与えたとまでは認められない上,上告人が前回の疾病後に十二指腸かいようの治療を怠っていたことからすると,このことが本件疾病発症の原因ではないかと疑われ,上告人の上記ストレスが相対的に有力な原因として本件疾病を発症させたとまでは認めることはできず,本件疾病が本件各出張中の業務上のストレスに起因する疾病であると認めることはできないと判断した。
4 しかし,原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 前記事実関係等によれば,上告人が本件疾病の発症以前にその基礎となり得る素因又は疾患を有していたことは否定し難いが,同基礎疾患等が他に発症因子がなくてもその自然の経過によりせん孔を生ずる寸前にまで進行していたとみることは困難である。そして,本件疾病を発症するに至るまでの上告人の勤務状況は,4日間にわたって本件国内出張をした後,1日おいただけで,外国人社長と共に,有力な取引先である英国会社との取引拡大のために重要な意義を有する本件海外出張に,英国人顧客に同行し,14日間に六つの国と地域を回る過密な日程の下に,12日間にわたり,休日もなく,連日長時間の勤務を続けたというものであったから,これにより上告人には通常の勤務状況に照らして異例に強い精神的及び肉体的な負担が掛かっていたものと考えられる。以上の事実関係によれば,本件各出張は,客観的にみて,特に過重な業務であったということができるところ,本件疾病について,他に確たる発症因子があったことはうかがわれない。そうすると,本件疾病は,上告人の有していた基礎疾患等が本件各出張という特に過重な業務の遂行によりその自然の経過を超えて急激に悪化したことによって発症したものとみるのが相当であり,上告人の業務の遂行と本件疾病の発症との間に相当因果関係の存在を肯定することができる。本件疾病は,労働者災害補償保険法にいう業務上の疾病に当たるというべきである。 

5 以上によれば,本件疾病が業務上の疾病に当たらないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,前記説示によれば,本件処分は違法であり,その取消しを求める上告人の本件請求は認容されるべきものであるから,これを棄却した第1審判決を取消した上,本件処分を取り消すこととする。


会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、貴社の顧問弁護士に相談してください。

個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。


なお、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。また、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(不払い残業代、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。
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